蓮井幹生「PEACE LAND」作品解説トークイベント開催のお知らせ
この度WHYNOT.TOKYOは、8月5日から8月21日まで開催の「WHAT CAFE × WHYNOT.TOKYO EXHIBITION」にて、8月13日(土)14:00より、出展作家の写真家・蓮井幹生ご本人による作品解説イベントと行います。
本グループ展では、水平線の広がる風景を収めた写真作品を通して色彩や光の世界を探究し続けてきた「PEACE LAND」シリーズより5作展示しております。この機会にぜひともご高覧ください。
【概要】
蓮井幹生「PEACE LAND」作品解説
■開催日時
2022年8月13日(土曜日)
■開催場所
WHAT CAFE(〒140-0002 東京都品川区東品川2-1-11)
蓮井幹生作品展示エリア
■開催時間
14:00 〜
■参加費
無料
■内容
蓮井幹生さんは、シリーズ「Peace Land」の制作を通して1990年代からパノラマ広角での撮影を続けており、寺院や祈りの様子の記録に始まり、2000年代に入ると洗練された地平線の構図と色彩が際立つような変化が生じてきます。30年以上にもわたって継続的に発表を続け、2009年にはフランス国立図書館にコレクションされたこちらの作品群は、作家の世界観の中核をなすものとして位置づけられています。
今回の作品解説では、作家の視線と地平線との内省的な対話がどのように生み出されていったのかというその試行錯誤のプロセスと、そして本シリーズに込められている想いなどを、実際の作品をご覧いただきながらお話をさせていただく予定です。
PEACE LAND
リンフォフ617のファインダーを通して見る海にはその実在とはまた違ったまるで虚像の様な独特の印象を受ける。それはなぜなのか。ファインダーのレンズによる歪みなのだろうか、
またはその曖昧に揺れ動くフレームのせいなのだろうか。
いやそのような物理的なことではない。
私はこの何とも曖昧なファインダーを通った水平線や海の表情を見るのが好きだ。
それは現実のそれより象徴的で詩的である。
私の眼底に投影されたその映像には、
そこに聞こえるべき波の音は不思議と消え去り、風の音さえも無い。
おそらくはその間わずか数分から数十分なのだが、
筆舌には尽くせない無垢な幸福感に浸ることとなる。
そしてフィルムの乳剤に一枚の映像を焼き付ける。
私にとってこのシリーズPEACE LANDの撮影とは些かの誇張も無くその様なことである。
私は、あるがままを感じることに自分自身の確かな存在を一瞬だが消し去ることができるのである。
考えてみれば、写真とはそういうものなのだ。
-蓮井幹生-