中堅作家から若手作家への技術指導~5/20共同焼成記録レポート①窯詰め編

珠洲市陶芸センターの共用薪窯を使って実施した共同焼成。
窯元である中堅作家が集い、まだ窯を持っていない若手作家に技術指導を行う貴重な機会となりました。
プロモーションとは一味違う、若手作家視点での記録レポートとして、全4回でお届けします。
1回目の今回は窯詰め編です。

共用薪窯はいわゆる穴窯タイプ。狭い窯の中は緩やかな階段状になっており、
窯の中にもぐり込んで棚板を組み、窯の奥から作品を並べていきます。

棚板は傾きが出ないようしっかり調整します。
窯の出入口部分にあるロストル(火格子。通風を良くし火がよく燃えるよう火を焚く場所の下部に設ける。)を点加重による負荷で壊さないよう、板を敷いて保護しています。
棚板1枚の重みは約7.5kg。狭い場所での作業は時に強い身体能力を必要とします。


こちら共用薪窯の特徴は「温度が上がりやすい」「熱が抜けていきやすい」。
窯の中で炎をどのように通して熱を蓄えていくか、指導を受けながら窯詰をします。
炎の通りを考えた時の作品の正面の捉え方や作品を詰める密度など、普段は聞けないことや再確認したいことをフランクに話せる機会にもなりました。

窯の外では最後の大物をどう置くか、新聞紙を棚板の大きさに合わせて試行錯誤。
火前の灰のかかり方や後ろにくる詰めたものとのバランスを見ながら配置を考えます。
若手は、窯詰めが終わった後の作業を見越してモルタル練り。
モルタルの柔らかさも作業効率に直結するので気は抜けません。


いよいよ大詰め。サインの位置など正面を確認しながら慎重に据え置きます。
作品が棚板にひっつかないようアルミナ粉をつけるのを忘れずに。
メインの大物の脇には、火前のためにとっておいた作品を入れていきます。
ロストル脇の空間も有効活用し、灰かぶりの窯変を狙います。

作品を詰め終わったら出入りしていた部分をレンガでふさぎます。
薪口(薪を投入する部分)の高さをチェックしながら形作っていましたが、割れそうなレンガを代用品で対応したら収まりが悪くなり、ここでも試行錯誤。
なんとか積み切り、最終的に薪口を閉じるときに必要なレンガも今のうちに寄り分けて…
朝9時半からの窯詰め作業は、夜20時半に終了。
そのまま続けて焼成開始です。