共同焼成レポート ゆるやかな共助の関係性を目指して
5月も後半に差しかかったころ、まだ春の残りが空気に残る珠洲で、ひとつの窯に火が入りました。
再建されたばかりの珠洲市陶芸センターの共同窯に、作家たちが作品を持ち寄り、ともに焼成に取り組む様子をご紹介します。
この窯を囲んだのは、震災前から珠洲で制作を続けてきた作家や、最近移住してきた若手陶芸家たち。普段は個々で活動している彼らが、同じ火を共有し、焼きあがった作品を一緒に見守った一週間でした。
この共同焼成には、焼き物を焼くだけでなく、もうひとつ大切な目的がありました。
ここ数年で珠洲には移住者が増え、新たに制作を始める若手も少なくありません。 今回の取り組みでは、そうした若手と地元に根ざした作家たちが、自然に助け合い、技術や作業を補い合える“ゆるやかな共助の関係”を築くことも目指しました。
「焼成に参加したい」と声をかけられる空気、「ちょっと手を貸して」と頼れる関係。
そんな日常のやりとりが、珠洲焼のこれからを支えていくはずです。
参加者のコメント
何に気を配りながら動いているのかを見聞きして、自分なりに頭を整理しながら作業ができ、とても良い経験になった。
先輩方と共に焼成でき、いろいろと楽しく勉強になりました。なかなか皆さんとゆっくり話す機会もあまりないので、とても貴重なお時間でした。
尚、若手参加者の参加度合いには課題も残りましたが、それも含めて今後の関係づくりへのヒントになりました。
大阪万博で展示販売
この火から生まれた器たちは、
2025年7月2日(水)〜6日(日)、大阪万博で開催される「第3回日本国際芸術祭」にて展示販売されます。
共助の関係性、新しい窯の中から生まれたばかりの珠洲の器。
現地では作品に触れ、珠洲の作家たちの声にも出会えます。
ぜひ、珠洲の今を映した器を、あなたの手で確かめてください。