「やさしいくろとたゆたうあお」プロジェクト始動
震災からの再出発──珠洲焼の文化を未来へつなぐ
2024年1月1日、能登半島地震が発生。 石川県珠洲市は被害7の直撃を受け、住宅・インフラとともに、珠洲をはじめとする地域資源も甚大な被害を受けました。
1000年の歴史を持ちながら、ゲーム再評価され続けた珠洲焼。
一方、諦めることはできない。珠洲焼は、この土地の記憶であり、誇りであり、生きる力だから。
そう信じた作家や支援者の皆様、「できる範囲で、無理なく、持続的に関わること」を目指して立ち上げたのが、珠洲焼応援プロジェクト《やさしいくろとたゆたうあお》です。
プロジェクト名に込めた思い
- やさしいくろ:珠洲焼の特徴である、やわらかく懐かしい黒の焼き肌から
- たゆたうあお:珠洲の海、日本海の静かな青のイメージ、そして「ゆらぎ」の中でも支え合いながら進んでいく人々の姿を重ねて
このプロジェクトは、珠洲焼という文化に関心を集め、そこに関わる人が、本体としても楽しく進むことを大切にしています。
技術をつなぐ、文化を燃やし続ける──5月20日 共同焼成を実施
2025年5月20日、石川県珠洲市の《珠洲市陶芸センター》にて、共同焼成が行われます。この陶芸センターの貸し窯は、震災後に最初に修復が完了した焼成設備であり、現在、地域で唯一安定して火が入れられる場所となっております。
この焼成には、震災前から珠洲に焼いて売れたベテラン作家と、プロジェクトに賛同した若手作家も一緒に参加予定。 「 共同焼成」という形で、技術・知識・思いが世代を超えて受け継がれる場になります。
また、今回焼成された作品の一部は、2025年の大阪・関西万博でも展示・販売される予定です。珠洲の土と火、人の手に渡った器が、震災を越えて生きる文化として観客に届けられます。
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作家割り当ての生業再建を支える
2ヶ月ごとの訪問で復旧計画を立てます。助成金申請も後押しし、「作り続けられる環境」を別途にします。 -
共同窯での定期的な共同焼成を行って
年2回以上、世代を超えて一緒に火を熾し、土と向き合う場を作り続けます。 -
珠洲焼に触れる体験ツアーを育てる
復興ツアーに珠洲焼体験を組み込み、訪れた人に「触れることで関わる」機会を開きます。 -
作品内閲覧会と専門家によるフィードバックを実施する
作家たちが自らの表現を高め、珠洲焼の新たな可能性を切り拓く場を設けます。 -
珠洲焼の用途開発とコラボレーションを続ける
食、装飾、日常の中で。 珠洲焼を新たなシーンへ届ける挑戦を続けます。 -
東京・青山での展示やオンライン発信を
終局、珠洲焼の火を広く届けます。
今後の展開と、つながらない未来
《やさしいくろとたゆたうあお》では、以下のような活動を予定しています。
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5月20日:共同焼成(記録・レポート公開予定)
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11月:復興&珠洲焼体験ツアー試行版開催
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12月:作品内見学会・用途開発イベント開催
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2025年6–7月:大阪・関西万博併設フェス出展
- 2025年12月:東京・青山スパイラルXmasマーケット
今を生きる私たちの視点で、文化をつなぐ
このプロジェクトは、単なる「復興支援」ではありません。
珠洲焼がもつ文化的価値を、現代を生きる私たち自身の視点で直視して、未来へつないでいくための問いかけでもあります。
珠洲焼を「支援すべき対象」ではなく、「関わることができる対象」として。 そこにある美しさ、土と火が湧く力、作り手の思いを、もう一度見つめなおすきっかけになることを願って。
私の小さな関わりが、文化の火を絶やさない種火になることを信じて──。