珠洲焼応援プロジェクト「やさしいくろとたゆたうあお」 2025年12月19日(金)〜25日(木)Spiral Xmas Market 2025にて展示

株式会社宙と土(代表取締役:髙屋典子)は、2025年12月19日(金)〜25日(木)の期間、東京・南青山のスパイラルガーデンで開催される「Spiral Xmas Market 2025」に出展し、『やさしいくろとたゆたうあお』(展示主体:WHYNOT.TOKYO)を展示します。

◼️珠洲焼応援プロジェクトとは

石川県奥能登に位置する珠洲市は、2022年以降3年連続で震度6弱〜7の地震に見舞われ、2024年の能登半島地震では甚大な被害を受けました。「珠洲焼応援プロジェクト」は、そうした被災を乗り越えようとする作家たちの活動を支援する取り組みとして、2023年12月のSpiral Xmas Marketでの初展示からスタートしました。本年で3回目の開催となります。プロジェクトは、休眠預金活用事業(資金分配団体:一般社団法人RCF)による実行団体として、株式会社宙と土が中心となり、現地調査や再建計画策定、伴走支援を行ってきました。これまでに8名の作家の助成金申請をサポートし、創作活動の継続と発信を後押ししています。 また、珠洲焼の魅力を広く伝えるため、これまで全国で6回の展示会を企画・実施しました。作家・支援者・鑑賞者の新たなつながりが生まれ、珠洲焼を通じた共感の輪が広がっています。 2025年現在、ほとんどの作家が仮設住宅での生活を経て創作を再開できるようになりました。今回のスパイラルでの展示は、これまでの歩みを振り返る「節目の展示」として開催いたします。

◼️本展示について

本展では、珠洲焼応援プロジェクトの作家代表である現代美術家・高屋永遠のほか、写真家・蓮井幹生が能登の地を再訪し、新作を撮り下ろしました。 奥能登国際芸術祭の参加作家を含む9名に加え、特別参加として「Rediscover project(伝統工芸再発見を目的とする有志プロジェクト)」による九谷焼陶片と漆の作品も展示します。 被災地から生まれた土や家屋の素材をもとに、再生への祈りを込めた作品が並びます。また、再建した窯で制作された木澤孝則、芝雪、清水武徳、宮脇まゆみらによる新作、復興中の作家が共同で焼成した珠洲焼作品も出品します。 2026年1月1日で、能登半島地震の発災から二年を迎えます。 時の流れとともに記憶が少しずつ遠のく中で、珠洲の土から生まれた作品たちは、あの日の記憶とともに今を生き続けています。 東京で作品をご覧いただき、手に取り、そこに宿る想いを感じながら、能登の地へ静かに思いを馳せていただけたら幸いです。 本展示・販売の一部収益は、珠洲焼作家の継続支援に充てられます。

■「やさしいくろとたゆたうあお」に込めた思い

本展のタイトル「やさしいくろとたゆたうあお」は、珠洲焼特有のやわらかく深い黒と、珠洲の海、日本海の静かな青をイメージしたもの。器や素材の美しさの背後にある、人々の暮らしや記憶、そして震災後に生まれた新たな「関係性」を感じていただく展示です。

◼️展示の歩みと広がり

初回のスパイラル展示以来、珠洲焼作家と現代アーティストによる協働を重ねてきました。作家たちは珠洲の風景や記憶、人々の暮らしをモチーフに、被災地の素材やそこで捉えた何かを取り入れた新作を制作。2024年には奥能登国際芸術祭の参加作家も加わり、地震を通して見えてきた地域の姿をテーマにした作品が増えました。こうした流れが、珠洲焼という伝統を「今を生きるアート」として再定義する試みへとつながっています。

■開催概要

会期

2025年12月19日(金)〜12月25日(木) 
*WHYNOT.TOKYOの出展は第3期の上記期間となります

営業時間

19日(金)17:00〜19:00 
*初日は17時オープン 20日(土)〜25日(木)11:00〜19:00

会場

スパイラルガーデン(スパイラル1F)
東京都港区南青山5丁目6-23

出展作家

<プロジェクトメンバー>高屋永遠、蓮井幹生、塙康平、上田智之

<ゲストアーティスト>サルチョード・イル、城保奈美、末松由華利、竹中美幸、谷口聡子、Rediscover project

<珠洲焼作家>鍛治ちえみ、宮脇まゆみ、清水武徳、木澤孝則、折坂理恵、金丸聖、芝雪、環翠、西絵美、林春香

入場

無料

    *Spiral Xmas Market 2025 
    会期 :2025年 12月5日(金) ‒ 25日(木) 3会期
    会場:スパイラルガーデン(スパイラル1F)
    主催 : 株式会社ワコールアートセンター
    企画制作 : スパイラル
    協力:株式会社アートフロントギャラリー

    ■珠洲焼について

    珠洲焼は、石川県珠洲市で育まれてきた伝統の焼き物であり、世界農業遺産に登録された能登の里山里海の自然と共に歩んできた文化です。平安時代から室町時代にかけては六古窯と並び隆盛を極め、一度途絶えたのち500年の時を経て再興されました。現在では石川県指定の伝統工芸にも指定されています。
    珠洲の大地から採れる鉄分を多く含む土を長期間熟成し、独自の「燻べ焼き」によって焼き締められた珠洲焼は、灰黒色の深い艶と、自然釉がもたらす一つとして同じもののない表情が魅力です。使い込むほどに味わいを増し、手仕事ならではの温もりを感じられる器として多くの人々に愛されています。  

    ■WHYNOT.TOKYOについて

    2019年、東京・目黒区昭和通り商店街にアーティスト・ラン・スペースを開設。 作家代表 高屋永遠を中心に国内外の現代美術作家、キュレーター、研究者らと協働し、多様な表現を紹介してきた。
    2022年4月に目黒の拠点を閉館後は、より自由で機動的な体制へと移行。 アート・工芸・テクノロジーの分野を横断する展覧会やプロジェクトを企画し、作家や批評家が交わる場として活動を続けている。
    コロナ禍を契機にアーティスト支援にも取り組み、2023年の奥能登地震をきっかけに、石川県の伝統工芸「珠洲焼」を応援する活動を開始。
    2024年能登半島地震以降、現地に通いながら被災した窯の復興に対する伴走支援、珠洲焼応援プロジェクト「やさしいくろとたゆたうあお」を展開中。

    ■宙と土について

    株式会社宙と土は、「問いを起点に、場をつくる」 を理念に、展覧会、ワークショップ、コミュニティデザインなどを手がけるアートプロデュース会社です。2024年の能登地震以降は、珠洲焼を軸とした復興と共創のプロジェクトを継続的に行っており、本展もその一環として企画されました。
    *株式会社宙と土は、休眠預金活用事業の実行団体として本事業を行っており、一般社団法人RCFが資金分配団体となっています。

    ■公式SNS/発信媒体

    展示にまつわる背景、作家紹介、制作過程、現地の様子などを随時発信中。 最新情報は以下のSNSよりご覧ください。

    【本件に関するお問い合わせ】
    株式会社宙と土(広報事務局:Kiwi PR合同会社) 植田 聡子
    E-mail:info@kiwipr.jp
    電話:090-7423-8838 

    ■出展作家及び作品の紹介(一部抜粋)

    高屋永遠 Towa Takaya

    画家/現代美術家。 
    ロンドン芸術大学セントラル・セント・マーティンズにてファウンデーション修了後、ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジj美術学科卒業、現在東京を拠点に活動中。人間が色や形、奥・手前など知覚する視覚認識のメカニズムを元に、平面作品の鑑賞を単に見ることではなく、鑑賞者と作品の間に「動的で個人ごとに固有で一回性のある体験」を立ち上げる。
    国内外各地の自然や社会史につながる土・植物・化粧原料自作した色材や、設置場所の光も用いることで鑑賞位置や光環境に応じて像が変位する新たな「現象」を探究している。
    2022年より資生堂と化粧原料を用いた絵画表現 の共同研究を実施し、資生堂グローバルイノベーションセンター(S/PARK)で研究成果展「揺動する絵画空間」 を発表。
    2024年、学術誌に共著論文「絵画技法の画種横断的な分類」を発表。 2025年、日本の時計ブランド MINASEとのコラボレーションにより、見る角度と環境光によって色彩が移ろう「悠彩」文字盤を発表。

    高屋永遠「位相-生 < 慧II >」

    珠洲の大地に足を踏み入れたとき感じとられた「今、この生」という私の認識は、創作のなかで物質の変容とともに、より流動的なものになっていきました。それは、刹那と悠久とが多層的かつ可逆であるかのような時空間の認識の変容へと導くものでした。 
    この度、作品として結晶化されたその経験たちが、展覧会として鑑賞され、<それ自体>として新たに、あるいは再び生を得ることができたら幸いです。 

    宮脇まゆみ Mayumi Miyawaki

    1973年石川県金沢市生まれ。
    珠洲焼に魅せられ、1997年に珠洲焼研修塾に入塾し、翌年、珠洲焼陶芸センター独立支援工房に入所。
    2004年にはアメリカ・ニューヨーク州で穴窯の共同制作を行う。
    2009年、石川県鳳珠郡能登町に自らの窯「しこたろ窯」を築窯。
    2015年、石川県伝統産業優秀技術者奨励者に選定される。
    現在、石川県クラフトデザイン協会理事および珠洲焼創炎会理事を務める。

    <作家コメント> 珠洲の土を使い、珠洲で焼く強い還元の炎で焼かれた素朴で力強い作品の魅力にひかれて、珠洲焼のとりこになり、今に至ります。 薪の窯は、毎回色々な表情の作品を生み出し、ますます私の意欲を掻き立てます。 震災にあい、土を触れない時間を過ごしてからは、作陶できることが当たり前ではないことに気づき、土と炎と対峙する喜びを感じています。 日常の暮らしの中に、珠洲焼という灰黒色の作品が、彩を添えられるよう気持ちを込めて作陶しています。

    宮脇まゆみ「自然釉壺 冬空」 

    清水武徳 Takenori Shimizu

    1973年愛知県刈谷市生まれ。
    立命館大学卒業。 2001年、珠洲市にて珠洲焼を始める。
    2004年、現在地に倒焔式窯を築く。
    2010年、半地下式穴窯を築く。
    2013年、世界農業遺産国際会議の記念品制作。
    2013年、石川県伝統産業優秀技術者奨励者に選定。

    <作家コメント>
    奥能登で黒い器、珠洲焼を制作。九谷焼の窯元で九谷焼の職人として修行した後に、珠洲焼の素朴な器体に感じ入り奥能登に移住。自らの手で積み上げた穴窯でプリミティブな器、ディテールを大切にして制作しています。
    日々移ろいゆく海の色に心を洗われ、山に入り、萌えるようにめまぐるしく変わる山々の生命にエネルギーをもらいながら、土と向き合っています。中でも新緑の季節が一番心躍ります。そんな自然から感じた気持ちを大切にしながら、一年に一度の窯焚きに全てを込めています。窯と土と炎の阿吽の呼吸、化学反応が起きたらいいなと薪割り、窯つくり、粘土の選定のコンビネーションを一つの作品としてとらえて祈るような気持ちで窯を焚き上げて、毎回自然に翻弄されながらまた立ち向かうという繰り返しが本当に楽しいです。

    清水武徳「閃」 

    芝雪 Shibayuki

    1979年石川県珠洲市生まれ。珠洲市陶芸センター勤務を経て活動をはじめる。現在、金沢市と白山市・吉野工芸の里を拠点に制作。能登の風土・民俗・文学、珠洲古陶に描かれた秋草の静寂さに影響を受ける。古陶から想像する遠い昔の珠洲の情景、幼少期の風景、自然の威力を顕す現在の光景。これらが自身の中に層となり、土を使った物語として制作している。
    能登半島地震・豪雨による死者数を自らの中で受け容れるために制作する陶像「祈りのかたち」。生家の解体跡から生まれた道具。珠洲焼が静かに伝え続けてきた能登の記憶や情景をつなぐかたちを探究し制作を行う。

    芝雪「祈りのかたち4」 

    林春香 Haruka Hayashi

    石川県生まれ。デザインの専門学校卒業。
    2019年秋に金沢市内の陶芸教室(松本陶房)に通い始める。
    様々な素材触れ陶芸を楽しむ頃、祖母から頂いた珠洲焼のマグカップの素材に触れ強く魅力を感じ、珠洲焼を作るきっかけとなる。
    2021年 珠洲市に移住し珠洲焼基礎研修開始。

    <作家コメント> 私はインスピレーションやその瞬間の感覚で作品を生み出しています。生命力のある向日葵や、地球の生命体には欠かせない太陽などの光イメージしたものを作品に多く表現しています。 珠洲焼の自然な素材と組み合わせ、優しくも力強い何かが伝わると幸いです。

    林春香「ひまわりたちの蓋付き壺」